• 千葉県八街市にある家族的な教会です

2022年6月8日聖書の学び

本日は、詩編40編2節から「主は聞いてくださる」と題して短くお話をします。

40:2 主にのみ、わたしは望みをおいていた。主は耳を傾けて、叫びを聞いてくださった。

2005年に帰天されましたが、田原米子さんという女性の牧師の方がいました。米子牧師の生涯は、著書も数冊ありますのでご存じの方もおられると思いますが、米子さんはクリスチャンの家庭で生まれ育ったわけではありません。

米子さんは、一番多感な思春期に大好きなお母さんを亡くしました。心にぽっかり空いた大きな穴は、埋められません。担任の先生に、幸せのありかを訪ねますが、先生には答えられませんでした。空洞ができたままの心で生きるのが苦しく、やがて、小田急線の新宿駅ホームから飛び込み自殺をはかったのです。

 奇跡的に一命は取り留めましたが、両足と左腕が切断され、残った右手も指は三本しかありませんでした。絶望した米子さんは再度、自殺を図ろうとしました。睡眠剤を少しずつ貯め、一気に服用し死のうと思っていたのです。そんなある日、宣教師とその通訳の青年が米子さんのもとを訪ねました。青年は、後の夫になる田原昭肥さんでした。福音を宣べ伝えたのですが、米子さんは全く聞く耳を持ちません。何度も拒まれながらも、二人は訪問を続けたある日、聖書だけおいて帰りました。聖書は放置されたままでしたが、ある時、米子さんは聖書を読み「神さま、助けてください」と祈りました。その翌朝のことです。自分の手を見て、指が三本もあることに気が付いたのです。今までは指が三本しかないと思っていた心が変わったのです。心が変わると、何もかもが一変します。編み物ができる。字も書ける。うれしい発見の連続でした。そして通訳をしていた青年と結婚し、二人の娘を育てながら夫婦で献身し、福音と自分の証を通して、多くの方に生きる希望と感動を与え続けたのです。

「神さま、助けてください」という米子さんの祈りに、神は彼女の心を変えることで応えてくださったのです。アメリカの神学者のラインホルド・ニーバー(1892–1971年)が祈った「ニーバーの祈り」というものがあります。「神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください」。私たちに変えるべきものはありませんか。変えてくださいと叫び祈ろうではありませんか。「主は耳を傾けて、叫びを聞いて」くださいます。