本日は、フィリピの信徒への手紙3章20節から「本国は天にある」と題して短くお話をします。
3:20 しかし、わたしたちの本国は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主として来られるのを、わたしたちは待っています。
「安けさは川のごとく」原題“It Is Well With My Soul”(讃美歌520、聖歌476、新聖歌252)という有名な賛美があります。この賛美は、連続する不幸な出来事に遭っても、福音に対する絶対的な信頼によって、心に平安を得るという信仰によって誕生しました。作詞者のホレシオ・スパフォード(1828–1888年)は、シカゴで成功を収めた弁護士でした。4人の娘にも恵まれ、熱心なキリスト者として所属教会でも活発に奉仕し、平穏で幸せな日々を過ごしていました。ところが次々と惨事が襲い掛かります。1871年のシカゴ大火で家財を全て失ってしまいました。そこで彼は慰安旅行のため家族全員でイギリスへ行くことになったのですが、急用が出来てしまい、彼は遅れていくことにしたのです。予定通り、妻と4人の娘を客船に乗せ先に行かせます。しかし大西洋を半分渡ったところでこの船はイギリスの軍艦と衝突し、わずか12分で沈没してしまいました。妻は奇跡的に助かり、数少ない生存者に数えられることとなりましたが、4人の娘は犠牲者226名の中に名前を連ねることになりました。悲しみに暮れながら自分を待つ妻の元に向かうために乗った船の甲板で、スパフォードは何時間も立ち尽くしていました。娘たちが命を落とした海域に近づいた時、スパフォードは神様からの慰めを感じ始めました。やがて天国で家族全員が再会できるということです。そしてこの慰めのゆえに「悲しみは波のごとく わが胸満たす時 すべて 安し 御神共にませば」という詩を書くことができたのです。後日、スパフォードは作曲をフィリップス・ブリス(1838-1876年)に依頼しこの賛美は完成したのですが、それから約一か月後、今度は作曲者のブリスが鉄橋事故によって命を落すことになってしまったのです。一か月前に完成したこの賛美はブリス自身のためのレクイエムになってしまったのです。この賛美の四節の詩を見てみましょう。
4. よし天地(あめつち)崩れさり ラッパの音と共に 御子イエス現わるるとも などて恐るべしや 全て 安し 御神共にませば
この賛美は、多大な苦しみの中で完成したのです。私たちもこの世で多くの試練に遭います。最愛の家族や親友と突然、お別れすることもあるでしょう。しかし、キリスト者の本国は天にあるのです。そこで、必ず再会ができるのです。天国にて家族友人全員で再会しようではありませんか。祈りましょう。