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2023年8月3日聖書の学び

ヨナ書の学び(新共同訳聖書 スタディ版 各書の概説 原文転載)

特徴

預言書には通常、預言者の預言の言葉が収録されている。ところがヨナ書には預言の言葉はほんの1節だけしか書かれていない(3.4)。また、他の預言書に見られるような預言者の歴史的な情報が書かれているということもなく,ヨナ書は最初から最後まで一つの物語のようである。

なぜ、書かれたのか?

ヨナ書はB.C.597年から539年までのバビロン捕因の時代、あるいはその後のイスラエルの状況を背景としていると考える学者が多い。パビロン捕因は民が神に背を向けたために下された罰と見なされたので、捕因後のイスラエルは自分たちが神に選ばれた民であるという確信が揺らぎがちであった。そこで自らのアイデンティティを確立するために、他国の民との違いを際立たせ、その結果ユダヤ人でない人々に対する差別的な態度が生まれたとされる。本来、神がイスラエルの民を選んだのは地上のすべての人にとっての祝福となるためであり(創12.3)、他の国々への光となるためであったが(イザ49.6),民の多くはそのことを忘れてしまっていたのである。ヨナ書が書かれたのは、神を自分たちだけのものにすることがいかに愚かであるかをイスラエルの人々に教え、態度を改めさせるためであった。神はすべての人の神であり、だれに対しても、敵にさえも憐れみを示す神である。

どんな背景があるのか?

アッシリア帝国は好戦的な国で強大な力を誇っていた。諸国を侵略しては占領した国の人々を離れ離れにし、帝国各地に強制移住させた。B.C.722年にアッシリアに敗れたイスラエルにも、まさにそのとおりのことが起こった。アッシリアによって故郷から連れ出されたイスラエルの10部族は完全に行方がわからなくなり、二度と歴史に現れてくることはなかった。そのような国であったアッシリアの首都ニネベにヨナを遣わすということは、神の驚くべき愛と憐れみの現れと言えるであろう。イスラエルの敵を赦す神にヨナは怒りを覚えるが、それはイスラエルの民が一般に感じたことであったろう。民は自らが持つ神との特別な関係を失わないようにすることのみを考え、神との関係を他の国々、ましてやかつての敵と分かち合うなどとは考えられなかったのである。

構成は?

ヨナ、神から逃れようとする(1:1~16)神、ヨナを救う(2:1~2:11)ニネベにおけるヨナ(3:1~4:11)